ご挨拶

株式会社あーる工房のホームページをご覧頂き、ありがとうございます。

 

 私があーる工房という会社を始めてから20年ほどたちました。洋服を直したり靴バッグを修理したりと、ひとつのお店でリフォーム・リペアを総合的に提供するチェーンは珍しい存在だと思います。今では東海地区と関東地区を中心に67店舗を展開しています。

 時代はバブル崩壊の直後。大量生産、大量消費の社会に、新しいエコというライフスタイルを提案する仕事をしたい。私は理想に燃え、夢に溢れていました。誰よりも早く仕事を始め、誰よりも遅くまで働きました。スラックスの丈つめ、靴のかかとの修理は誰よりも速く、きれいに。お客様が来ると、真っ先に飛び出していき接客をします。全てのことについて先頭で引っ張るのが社長の仕事だと思っていました。幸い1号店、2号店、3号店と順調に出店を重ね、会社は少しずつ大きくなっていきました。そして数年が過ぎました。

 もうすぐ10店舗というころ、壁に突き当たりました。必死に仕事をしていても、何かが端の方からこぼれていき、思うようにいかないもどかしさばかりがつのります。そんな頃、あるお店の内装工事に付き添っていた時でした。私は退屈しのぎにお手伝いをしていて、電動ノコで左の手のひらを切ってしまったのです。一瞬手のひらが熱く感じて、あれっと思って見たら手のひらが真っ赤になって、小指が変な方向を向いていました(わあ、すいません。これ以上は書きません)。

 救急車である大学病院に担ぎ込まれ、ほとんど断裂した指をつなぐ大手術を受けました。幸い手術は成功し、半年ほどのリハビリを経て仕事に復帰することができました。けれど、私はもう先頭を切ってミシンを踏み、靴のかかとをけずることは出来なくなりました。

 あーる工房が壁を突き破って成長を始めたのは、それからなのです。面白いものですね。現場に立てなくなって、私は社長業に専念するようになりました。周りの人達も、きっと社長に任せておけないとばかりに、大急ぎで成長してくれたのかもしれません。それ以来私のモットーは、人を信じて任せること。いや、ぐうたらさぼること、かな(笑)。