あーる工房社内報154号冒頭文

 皆さんお元気ですか。蒸し暑い日が多くなって来ました。健康に気をつけて梅雨を乗り切りましょう。

 さて、昨日のことです。ある山村の小さなお店で、淡竹(はちく)のたけのこを見つけて買ってきました。たけのこにも色々種類があります。調べると楽しいですね。

 一番多いのは孟宗竹。春に太くてでっかいやつを買ってきて、米ぬかを入れて下茹でしてアクを抜きます。わかめを入れて若竹煮、たけのこご飯、天ぷらなど、どんなふうに料理しても美味しくて大好きです。

真竹のたけのこも美味しいですが、あまり売っているのを見たことがありません。真竹のたけのこはアクが強いので、アク抜きが不十分だとエグイので注意が必要ですが、孟宗竹よりうまいという人もあり。僕が大学一年で下宿したところは、東京都下の小平というところでした。その下宿の前に真竹の竹林があり、ある日下宿の先輩が、柵のすぐ向こう、手の届くところにたけのこが顔を出しているのを発見しました。早速掘り起こし、みんなでたけのこご飯を作って食べました。とても美味しかったのと、下宿のおばさんにものすごい勢いで怒られたのと、そんな思い出があります。

 ラーメンの上に乗っているのがメンマ。これは中国原産の麻竹(マチク)のたけのこで作ります。昔はシナチクと呼ばれて親しまれていましたが、実はシナチクのシナはお隣中国の人には差別用語として響くという悲しい歴史があり、メンマ(麺の上の麻竹?)と呼ばれるようになりました。

山菜で有名なのがネマガリタケ。ヒメタケとも言いますね。スーパーなどでは水煮をパックして売っていますが、味と香りはだいぶ抜けています。それでも手軽に使えるので、たまに買ってだしをきかせて煮物にします。手軽なのがおでんに入れること。味がしみて美味しいです。一番美味しいのが、山に入って採りたてを食べること。煮てもうまいし、皮付きのまま炭火で焼いて、しょうが醤油で食べるのが最高です。

 さて、淡竹のたけのこですが、これもなかなかのもので、郡上の山小屋で泊まった時、村の雑貨屋の桔梗屋さんで朝採りを売っているのを見つけ、早速買い求めました。夕方から山小屋の前でバーベキューをして、桔梗屋さん自家製の鶏ちゃんと淡竹を、拾い集めた薪で焼いて、その場でむしって食べると最高にうまい。塩でもいいし、しょうゆをたらしてもうまい。鶏ちゃんも肉ともつを郡上味噌でつけたもので、これまたうまい。ビールとともに食べると最高にうまい()

 ところで淡竹は、よく破竹と間違われて書かれていたりしますね。ネットで検索しても、破竹のレシピなどと普通に出てきます。それほど誤用が多いのも特徴です。その内どちらでも良くなってしまいそうな勢いですが、植物学的には淡竹です。大きくなった時、真竹より色が少し淡いからそう呼ばれるようになったのだとか。たけのこもうまいですが、大人の竹は、薄く綺麗に割けるために、竹籠に編んだり、茶せんの材料として利用されたります。

そんな淡竹ですが、もちろん「破竹の勢い」の破竹と誤用されるのは、店舗をかまえている以上、縁起が良くてむしろ歓迎ではないでしょうか。破竹の勢いにあやかって、商売繁盛とともに、蒸し暑い季節に負けないよう、どんな料理にして食べようかなあ。