社内報冒頭文 NO151

皆さんお元気ですか。今年は寒い日が続きますね。梅も桜も見頃は随分遅れるようです。 

「春遠からじ」という言葉をふと思い出します。「冬来たりなば春遠からじ」という言葉はなんとなく知っていますが、深く考えたことはありませんでした。冬来たりなばとは、冬が来たならばということ。意味としては「冬が来たということは、春がもう遠くないんだよ」ということでしょうか。厳しい冬につらい思いをしている人に(自分に)、今冬だということは、春がもうすぐそこに来ているんだよ、と言い聞かせるような響きがありますね。 

この言葉は、イギリスのロマン派の詩人シェリー(19世紀前半の人です)の「西風に寄せる歌」という詩の一番末尾に出てくる一節です。 

ODE TO THE WEST WIND      Shelley 
       Ⅰ  
O WILD WEST WIND, thou breath of Autumn's being, 
Thou, from whose unseen presence the leaves dead 
Are driven, like ghosts from an enchanter fleeing, 
(略) 
The trumpet of a prophecy! O, Wind, 
If Winter comes, can Spring be far behind ? 
(予言のラッパを吹き鳴らしておくれ!おお西風よ、 
冬が来たならば、春が遠いなんてことがあり得ようか。) 

こんな感じですね。それにしても、このIf Winter comes, can Spring be far behind ?という一節を「冬来たりなば春遠からじ」と訳した人は誰でしょう。日本語の美しさを感じさせる見事な訳ですね。ということで、少し調べてみました。訳したのは英文学者であり、翻訳家・評論家でもある上田敏さんという方だそうです。この方はカール・ブッセの「山のあなたの空遠く 幸住むと人の言ふ」という翻訳も有名です。 

さて、余談が過ぎました。去年から今年にかけて、2007年指数という話をあちこちでしてきました。この五年間の社会情勢、経済の低迷の深刻さをお話しし、その中で何をすれば生き残っていけるのか、成長していけるのかをお話ししてきました。関東新年総会では、関東直営店のスタッフのほとんどに話しました。店長会議、本部営業会議では日常的に話してきましたし、その集大成としての今回の店長研修会でした。 

けれど、その言葉はどこまで届いているでしょうか。どれほどの人が同じ問題点を共有し、大切なことを共有できているでしょうか。ゴミが落ちていないことの大切さ、スピードサービスに取り組む姿勢の大切さを伝えきれたでしょうか。大切なことはきっと感動をお客様と共有することなんだというメッセージを皆さんに伝えきれたでしょうか。 

「伝わる言葉」とは、感動を与える言葉であり、常に美しさを持っています。「冬来たりなば春遠からじ」という言葉の美しさ、勇気を与える力を私も学んでいきたいと思います。 

最後に、マザー・テレサの言葉を載せておきましょう。 

この世で最大の不幸は、 
戦争や貧困などではありません。 

人から見放され、 
「自分は誰からも必要とされていない」 
と感じる事なのです。 

 

鬼頭