社内報冒頭文 150回目の記念号

毎月社内報の冒頭に文章を書いています。 
今月の分をここにも載せておきます。今月号は150回目の記念号ですね。 


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皆さんお元気ですか。インフルエンザの流行が本格化しているとのこと、どうぞ気をつけてくださいね。


先日羽島は久しぶりに雪が積もり、まるで雪国のようでした。第一級の寒気が流れ込んでいるということで、その夜はマイナス5.2度とかで、さすがに寒いので懐かしい湯たんぽを引っ張り出してきて抱えて寝ました。なかなか具合がよく、その後毎日のように湯たんぽを愛用しています。さて、その寒い夜が開けて、一番でちづさんの声がします。「お湯が出ないよ!」


我が家は太陽光発電のオール電化住宅です。父と母が高齢になり、ガスレンジの扱いが危険になったので、数年前に思い切ってオール電化に切り替えたのです。ガスレンジはIHクッキングになり、火を使いません。お湯は電気代の安い夜中のうちに電気で沸かし、エコキュートという機械のタンクに自動的に貯められ、昼間はそれを使います。また、昼間は屋根の上に設置された太陽光発電のパネルでせっせと発電し、余った電気を電力会社に売電します。


そのエコキュートの配管のどこかが凍りついたようです。一階も二階もお湯が出ません。二階はお水も出ません。一階とトイレは水だけは出るので助かりました。配管は破損していないようなので、昼過ぎに気温が上がってくれば融けてくれるだろうと思いましたが、顔を洗ったり、髭を剃ったりする時にお湯がありません。顔はまあ冷たい水で平気ですが、ヒゲを剃るのにお湯が欲しいなあ。すると、ちづさんが「湯たんぽのお湯で顔を洗おう」と、嬉しそうに湯たんぽを抱えて洗面所に行きます。そうか、湯たんぽか。


私も湯たんぽのお湯を洗面器に出して、大切に大切に使いながら髭を剃りました。そうしながら、なぜかとても愉快な気分になっていく自分に気が付きました。もう何年も、ひょっとしたら何十年も湯たんぽのお湯を大事そうに使ってヒゲを剃るなんてことは記憶にありません。水道をひねれば、ガス湯沸し器からお湯が当然のように流れ出てくる生活に慣れきっていました。そんなところに今朝の凍結。湯たんぽのお湯が、はからずもはるか昔の記憶を呼び覚ましてくれたようで嬉しかったのです。


昔は庭先に手押しポンプの井戸がありました。台所も土間にあり、水道は油断をするとあっけなく凍結しました。お湯はやかんで沸かし、湯たんぽに入れてもらいました。お風呂は「オガライト」という燃料を燃やして焚きました。小学校に行く道すがら、水たまりの氷を割ったり、霜柱を踏んだりして歩きました。手袋をした手は暖かかったけれど、足の指にはいつもしもやけをこさえていました。そんな記憶を湯たんぽのお湯が呼び覚ましてくれたのでした。


もうすぐ店長研修会が始まります。お客様との、あるいは店舗スタッフ同士の「心温まるいい話」を募集しています。クレームを学ぶことも大切ですが、それ以上に「いい話」を共有することは、とても大切な勉強になると思います。大層な話、大感動を呼ぶようなとてつもなく立派な話しである必要はないのです。朝、湯たんぽから出てきたお湯のような、ほんのり暖かい話でいいのです。どなたも店長さんを通じて、ぜひ「ほんのちょっといい話」をお寄せ下さい。

                              鬼頭